主に、オンラインTRPGシルバーレインの「あまの兄姉妹」、エンドブレイカー!の「シュルツ・ウェイド」の日々の日記(仮プレとかも)を気が向き次第記入するところ。 気が向いたら更新なので毎日というわけではない。
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とある終わりと始まり・3
2008-03-16 Sun 15:55
ソレが他者…冬美との交流を得てから1年。
この少年と少女を対象とした実験が終わりを告げ、
少女は新たな使命を帯び、少年には終わりが迫っていた。

今、一つの出会いの終わりと始まりが訪れる。


「ふむ…アレは思ったよりも欲が無い様じゃな」
ツマラナイ、と言いたげに座敷牢をモニターしていた老人の一人が呟く。
「コレならば、自然受胎よりもコチラで行っていた体外受精による量産計画の方がマシなようじゃの」
得意そうな調子でホッホッホと老婆が哂う。
「えぇい、まさかアソコまでとは思わんかったわい」

悔しそうにする老人を尻目に自らの実験室に戻った老婆は、幾つモノ巨大な試験管の中に浮かぶ何かを見てニンマリと笑う。
「これで能力が遺伝されている事を確認できれば…一族の中での発言力は更に高まるじゃろうなぁ」
老婆は巨大な試験管の中に浮かぶソレに向かって呟く。
「さぁ、早く大きくなっておくれ……我が娘よ」
老婆は待ちきれ無そうにその試験管の中には羊水の中で眠る赤子に向かって語りかけた。
「あぁ、そうだな早く大きくなってもらいたいものだ」
何時の間にか老婆の後ろにいたいやらしい表情をした男もまた同じ様に呟いた。



さて、老人達が暗躍する中、夏優と冬美は老人達から何もされることなく夏優にとっては初めての…冬美にとっては少々肩透かしの平穏な時間を半年以上過ごしていた。
夏優は最初、口を利くことが出来なかったが、冬美の努力(割りとスパルタな授業)によって日本語と小学2年生程度の知識を得ていった。
「兄さん、ここの計算はこーやってこうすると解けるんですよ」
「へー、冬美ってあたまいーな」
冬美は自分が持ち込んだ勉強道具を使って夏優に勉強を教え込み、ついでに自分の勉強を行っていた。
そして勉強が一段落した所で冬美が「あ」と言って自分のスカートのポケットの中をごそごそと漁る。
「どーしたの、冬美」
「兄さんにお母様から預かりものがあったのを思い出しました」
冬美は母・祥子から預かっていた物を夏優に手渡す。
「…なにこれ?」
「勾玉…というものだそうです。大昔の人のアクセサリだったそうですよ」
夏優に手渡されたのは赤い色をした勾玉だった。
勾玉には紐が通されていて、首にかけれるようになっていた。
「かけてあげますね♪」
冬美がそういって夏優の首にかけ、その後に手鏡で「どう?」と良いながら自分の姿を見させる。
「ん…なんか少し気に入ったかも、コレ」
夏優は勾玉に何か暖かい物を感じながらそう呟く。
二人は知る由もなかったが、この勾玉は夏優の母、奈津子が嘗て付けていた物だった。
ソレを冬美の母・祥子が何故持っていたか、そして何故夏優に渡すように言ったかは定かではなかった。


その1ヶ月後である。
冬美は夏優との半年間に及ぶ座敷牢暮らしの終わりを告げられた。
そして、冬美は新しい役目を与えられた。
「今度はこの赤子を育ててみろ」
「はぃ?」
半年以上ぶりに行った小学校から戻ってきた冬美に対し父・誠一は一人の赤子を連れてきて突然そう告げた。
産着に包まった赤子は驚く事に乱暴に抱えられて此処まで来て、そして乱暴に渡されたにも拘らずすーすーと安らかな寝息を立てていた。
その容姿は愛らしく、庇護欲をかきたてられるのだが、同時にこうも思わされる。
(……かなり図太そうな子ね)
「この子の名前はなんというのですか?」
「知らん、後はお前が全てやれ」
そういって誠一は冬美の部屋を後にした。
「……文句を言うだけ時間の無駄ね」
とにかく、自分は何の因果か赤子の御守を任されてしまったのだ。
どうすれば良いか全く見当も付かない。
だが、それよりもだ…この子に名前をつけてあげるべきだ、と冬美は感じた。
何が良いかしら、と冬美が考えながら窓の外を見たとき、丁度庭に咲き誇っていた遅咲きの皐月の花が目に入った。
「そうね、この子の名前はさつき、海部野さつきに決定!」


一方、夏優の方にも新たな実験が与えられた。
「……?」
夏優は広い石牢の様な場所に連れ込まれ、短刀を持たされていた。
何をするかは聞いていない、だがすごく嫌な予感がしていた。
『では、戦闘実験を始めるかのう』
その言葉と共に、部屋の中央に何か良くない物が集まっているのを夏優は感じ取った。
そして、天井から鈍く輝く銀色の物が投下され、ソレは現れた。
「「GARRRR…」」
飢えた野犬の様な感じである、がソレは決定的に野犬とは異なっていた。
首が二つ、二つ頭であり単眼。
肌は焼け爛れ、腐汁を撒き散らしている。
「……」
夏優は恐怖を感じて取り乱す事はなかった。
だが、全身から冷や汗がたれているのを感じていた。
どう動くべきか、多分、アレは自分にとってよく無い存在だ。
だから、どうにかしなくちゃいけない。

だけど、どうやって?

夏優は今まで戦いと言うものを知らずに生きてきた。
故に戦い方も知らない。
戸惑っていると双頭のバケモノが夏優を大した敵で無いと判断したのか、まっすぐ突っ込んでくる。
「「GAAAA!!!」」
喉笛目掛けて右の頭が顎を開き喰らい掛かってくる。
「……っ!」
夏優はソレを横に走る事で回避した。
その後は命がけの追いかけっこだ。
「…!…!!」
バケモノは夏優に付かず離れずのペースで追い続ける。
『まさに児戯だの、何時まで続くのかのぅ?』
何時までも続くわけが無いのは老人にも夏優にも分かっていた。
そこで夏優は自分が持っているものを思いだした。
嘗て、冬美が食事の時に使っていた「ナイフ」という道具に似ている気がした。
ナイフは物を切る時に使うものだと冬美が一定たのを思い出す。
(なら…アレも切れる?)
走りながら思い出し、そして考える。
そうしていると疲れを訴えた足はバランスを崩し、こけてしまう。
「っ!!!」
慌てて起き上がろうとしたがバランスを崩し仰向けになってしまうだけだった。
そこを、バケモノにのしかかられた。
「───ッ!!」
この時、遂に夏優の中で恐怖が生まれた。
目の前の存在のおぞましさに、醜さに、自らの命を狩ろうとする事に。
バケモノはぐぁっと口を開き…その瞬間に、恐怖の臨海に達した夏優は無我夢中で左手に握っていた短刀をバケモノの横っ面に全力で突き刺した。
だが、渾身の力を込めたそれはバケモノの皮膚を貫くことなく逸れる。
「GRUAAAAAAAAA!!!!」
思わぬ反撃に驚いたバケモノは怒りと共に咆哮を夏優に浴びせかける。
「ぐぎぃぃあああああ!!?!?!」
咆哮は物理的な衝撃波となって夏優にダメージを与える。
更に気が狂ったかのように──否、この時点で夏優は既に正気ではない──短刀を何度も何度もバケモノの顔面に突き立てる。
「うぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
しかし、それは徒労に終わる。
動きが鈍った所でバケモノが夏優の右肩を前脚の爪で抉る。
「ひぎぃあああああああ!」
バケモノの爪はグジュグジュと夏優の肩の肉を抉る。
その痛みに夏優は意識が遠くなり始める。
その時、なんとなく胸の辺り…冬美に貰った赤い勾玉の辺りから暖かな物を感じた。
その暖かな物は自身の体に染み渡り、絶体絶命な状況だと言うのに安らぎを感じた。
そして、この状況で何をすればいいのかをソレが教えてくれた気がした。
何かが囁いている、コレをバケモノに付きたてろ、今度は大丈夫だ、と。
今にも喉に食いつこうとしていたバケモノの眼に、夏優は虚ろな笑みを浮かべてこう呟いた。
「きえちゃえ」
やってみると腕は驚くほどスムーズに動いた。
手の中で逆手に持ち替えられた短刀は、夏優の腕から流れる闇を纏いながらバケモノの眼に突き刺さる。
ぞぶり、と鈍い感触が一瞬したが竦むことなく更に押し込む。
「「─────GYAAAAAAAAAAAAAAA!!!」!」
叫び声と共に短刀に闇が収束される。
闇はバケモノに突き刺さった短刀を基点にバケモノの力を奪い取り、そしてバケモノは銀色の粒子となって消滅した。
「はぁっ!はぁっ!」
バケモノに短刀を突き刺す時から呼吸を忘れていた夏優は荒い息を吐きながら辺りを警戒した。
もう、他に脅威が居ない事が改めて分かると、激しい激痛に見舞われる。
抉られた右肩は勿論の事、脇腹、太腿にも似たように抉った後があった。
自分の体から赤いものが沢山流れている。
「これ・・・血・・・?」
そう呟いた直後、夏優は糸が切れた操り人形のように倒れこんだ。
視界が狭まっていき、眼が開けていられない気がした。
「あぁ・・・いた・・い・・・なぁ」
そう呟いて、夏優は死んだように気絶した。

モニターをしていた老人は満足そうにその結果を眺めていた。
「腐っても【能力者】というわけじゃな…能力の扱い方を知らぬくせによう生き残った物じゃ。
 『人形』、アレを座敷牢に戻しておくのじゃ」
「……」
『人形』は慇懃に礼をした後、『アレ』を座敷牢へと戻した。



この時、老人の命令が足りていなかったが為に、後に長く続く海部野一族にとっての禍根の始まりとなる。

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